
KJDNKTK2025 進出アーティスト 企画書(中間報告時点)
舞踏譜か戯曲かインストラクションか
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公演が終わった。よく知らない組織のよく知らない公演が。
『まひをどりのまに?』草稿 涌井智仁
動画資料:
2024年5月5日
かつてなくダンスを自由に踊るための煙が立つ会 2024
「まひをどりのまに」
登場(するかもしれない)人物
ダンサー
設営作業員1
設営作業員2
設営作業員3
アナウンス
動画
音楽
照明
まひの無いダンス。
をどりの無いダンス。
音の無い音楽。
時間の無い動画。
光のない。照明。
無がある舞台。
しかし舞台には風が吹かない。
舞台上には次の公演の準備をしている人たちがいる。客電がついている。
会場内は公演が終わった後のホッとした空気に満たされている。休憩のアナウンスが流れる。作業員たちは、黙々と設営を始める。みんな何を設営すればいいかわからない。1が太い紐を持って舞台中央にやって来る。太い紐を足元に置く。
虚体について考える。
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(会話)(必要な)
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(会話)(不必要な)
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(会話)(必要な)
×
何回か
作業員たちは、紐、プロジェクター、ウィンチのリモコン、LEDディスプレイ、ピアノ、照明、〇〇○、ダンサーを舞台上に並べていく。舞台上に仕掛けられたマイクが彼らや空白の舞台の音を拾って、スピーカーから返す。また虚体について考える。
ダンサーは舞台上をうろうろしながら、時々、設営を手伝っている。ダンサーはプロジェクターを適当な場所に適当に設置をする。映像を再生する。過去の。
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(会話)(不必要な)
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(会話)(不必要な)
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(会話)(必要な)
×
何回か
休憩の終わりのアナウンスが流れる。設営は続けられる。作業員たちの意志に基づいて、それぞれが配置されていく。ケーブルが配線されていく。
例えば、

こんな感じ。
ブラックボックス、ホワイトキューブ、そしてグレーゾーン。
ダンサーの身体は、仮設の中を。始まっていない舞台の上が。まひをどっている。舞台上のマイクの音はどんどんクレッシェンドしていく。
設営作業員は虚体だとお互いを認識し始める。ばらばらに動く。設営はもういい。
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(会話)(不必要な)
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(会話)(不必要な)
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(会話)(不必要な)
×
何回か
光なき光、影なき影、輪郭を拒む響きが遠く近く揺らめく、時は砕け、空は溶け、触れる指先に触れぬもの、名はなく、形もなく、ただそこに、ただそこになく。ありてあらず、なきてなおあり。無音の叫び、無形の舞。虚ろの深淵、空(うつほ)の息吹。見る者の眼に見えざる色を宿すもの。
LEDディスプレイはゆっくり明滅している。
照明はゆっくり明滅している(同調しなくていい)。
それらの開始は設営作業員が設営を諦めたタイミングで決定される。
ピアノがダンサーの動きに合わせて(同調しなくていい)音を鳴らす。設営作業員の演奏でもMIDIでも形式は無い。
設営作業員は楽譜を書く

ダンサーは設営の間を歩いている。
客席はどうだろう。みんな楽しいだろうか。
設営作業員がダンサーを捕まえる。ウィンチのクランプにダンサーをくくりつけると、リモコンで上にあげる。バトンか天井か中空か。劇場による。ダンスは劇場による。
設営作業員は舞台上を去る。LEDディスプレイ、プロジェクター、照明、動くものは全て静止する。
しばらく何も起きない。
ダンサーは落下する。
了

